これまでいくつか異なるジャンルの仕事に関わってきましたが、それぞれの分野ごとに面接の仕方があるものだと思いました。

一番興味深かったのは、飲食関連のマネージメントを請け負う会社にいた頃の面接です。

短期間で数店舗出店するために

ある企業からの依頼で、新事業部の立ち上げを手伝った時の人選を担当したのですが、短期間で数店舗ほぼ同時に出店することになり、それに対して必要なスタッフを集めることになりました。

料理の内容は、ある程度本格的なフレンチやイタリアンを取り入れたまじめなもの、当然シェフレベルの人選は前もってアタリをつけてありましたが、問題はその下に付くスーシェフや中堅クラスのスタッフです。

さすがに新卒などでは務まらないキャリアが求められる人選です。

採用を掛けて集まったのは、20代後半から40代ぐらいまで、シェフが40代後半ですので丁度いい年回りです。

ペーパー試験では分からない

ある意味実力勝負でもある業界ですので、それをどう計るかについて少し悩みました。

ペーパー試験は必要ない、面接では話せるがジャッジするための材料が不十分、となるとやはり数日間の研修期間を設けるしかないのです。

現場で働く姿勢や技術を見ての判断、タテ社会が基本ですから性格的なものも見なくてはなりません。

普通の企業なら面接で質問攻めにするところですが、この場合は質問したことを研修でどう裏付けできるかを試す感じでしょうか。

さすがに技術面はシェフに見てもらい、私はサービス業として向いているかどうかを見ることにしました。

飲食業界ならではの課題

それ以外に何か良いアイデアがないか考えたのですが、私が思いついたのが課題を出すことでした。

そしてシェフに提案して採用してもらった課題が、賄い(まかない)を作らせることでした。

私にしてみれば、これは形を変えた質問のつもりなのです。試験を兼ねて、飲食業界ならではの課題と言えるでしょう。

理由は単純なのですがいくつかあります。

まず「調理の技術を探れること」、「急な依頼に対応できるアイデアが備わっているかということ」です。

限られた食材を短時間に調理するのはさすがにプレッシャーなのですね。

オープンキッチンが主流になりつつある今の時代では、リアクションのセンスは接客業としても必要な部分です。

これを当日課して、それを3日ほど続けると、だいたいどんなキャリアの裏付けがあるかはわかりました。

採用した人たちは

晴れて採用になったのは、やはりしっかりと教育されてきた芯の強いスタッフ数名でした。

ただマニュアル的なこなしだけでなく、料理に対して情熱を持っている人たちが残った印象でした。

学生時代を思い出すと、アルバイト先の賄いが楽しみで仕方なかった記憶があります。

たかが賄い、されど賄いと言うかはわかりませんが、その一皿に職人のセンスが詰まっている気がしました。

それはどんな質問よりも確かで、この業界に限ってはこんなアプローチもありだなと確信しました。

自分を過信し過ぎていない30代~40代の職人たち、彼らの前途は明るいと思いました。